茨城県水戸市で住宅会社(株)ディレクタや防水・塗装・基礎工事や白アリ予防の(有)シュウトク、ドローンスクールなど数社を経営しています。渡辺秀徳です。
今回は「人の見た目の大切さ」について書きます。
目次
初対面の印象がその後の付き合いを左右する
見た目を気にせず働いた職人時代
ここ数年はご紹介なく「初めて人に会う」という場面はなかなかありませんが、
プロフィールにも書いた通り、私の始まりは防水施工の職人です。
職人時代は見た目を気にする余裕すらなく、
「仕事で結果を出すことが一番!」と信じ、がむしゃらに新規営業していました。
経営者となった現在は、営業マンの方が当社にいらっしゃる場面が増えましたが、
そんな時に気になってしまうのがその方の「見た目」です。
靴は綺麗か、清潔感はあるか、表情はどうか。
引き寄せの法則とも言われる通り、はつらつとした人の周りには自然と活気のある人たちが集まります。
逆もまた然りです。
私自身も経営者として心掛けていることの一つに「見た目の印象を良くすること」があります。
紹介の絶えないオーダーメイド専門店、喜久蔵久米洋服店
スーツは、見た目の印象を左右する重要な要素の一つです。
今回は私がスーツをオーダーしている喜久蔵久米洋服店さんを紹介したいと思います。
私と代表の久米さんとの出会いは約10年前。
他の多くの常連さんと同じように、知り合いの経営者から紹介いただき久米さんと出会いました。
物腰が柔らかく聞き上手な彼と話をしていると、ついつい長居してしまいます(笑)。
ここからは私が久米さんにインタビューした際の内容をまとめましたので、ご覧ください。
「店は、継がないで欲しい」。父の言葉の真意
Q.5代目である久米さんは、後継ぎとしてどのようなスタートを切られたのでしょうか?
正直な話、私が小学生の頃から父には「店は継がないで欲しい」と言われていました。
今だから分かるんですが、
量販店が出来てからはオーダースーツの受注量が減っていたんですよね。
それに当時のオーダーのイメージって、おじいさんが経営してて、ちょっと古臭いデザインのスーツが仕上がってきそうなイメージがあって。
お店を継いでも生活が安定しないだろうって、父なりに配慮してくれていたんだと思います。
そうは言っても、父の背中を見ていたからなんですかね。
「自分の店を持ちたい」という気持ちがずっとありました。
大学時代の就職活動中もその気持ちは変わらなくて。
目指すは飲食店のオーナーだ!と思って、大手の飲食店に就職しました。
飲食店経営の基礎を学んで、いずれ独立しようと考えていたんです。
ただ、現実は甘くなかった。
どこの業界もそうなんだと思いますが…飲食業界も甘くなかった。
体調を崩してしまい、辞めることになって水戸に帰ってきたんです。
水戸に帰ると、お店の現状は想像以上に厳しかった。
売上は落ちていたし、看板すらない。
借金もありました。
父の手伝いで手書きのチラシを作ったり、看板を手作りしたり。
できることを、できる限りやってました。
当時、地方にはまだ「オーダー=おしゃれ」というイメージはなく、古臭く思われがちでした。
だからそのイメージが払拭できれば、そこにチャンスがあると考えたんです。
最初の就職で失敗し、茨城に帰ってきた。
もう後は無いと覚悟を決めて、手作りのチラシを抱えてセレクトショップに絞って営業を掛けました。
営業活動を続けていくうちに、あるセレクトショップから声がかかって。
そこでオーダー会をやらせていただけることになったんです。
振り返れば、それがはじまりですね。
老舗洋服店の歴史だけでなく、借金も背負っての創業でした。
まず始めたのは「オーダースーツのイメージを壊す」こと
Q.喜久蔵久米洋服店のブランドは、どうやって作っていったのですか?
オーダースーツのイメージってありますよね。
「高そう」「今風のデザインはできなそう」「頼みずらそう」。
今もまだ、こんなイメージを持っている方は多いと思います。
なので、全て逆をやることから始めました。
「価格は明確に」
「伝統的なデザインだけでなく、トレンドを取り入れたデザインも提案する」
「気兼ねなく相談できる店づくり」
一人ひとりのお客様とお話する時間を大切にしたいので、完全予約制としています。
敷居を高くしたい訳じゃないですよ(笑)。
営業時間は12時から20時ですが、お客様のご都合を伺って早くお店を開けたり、閉店後にお時間を取らせていただくこともあります。
オーダーって楽しいんですよね。
初めてオーダーされるお客様だと、平均して2時間はいらっしゃいます。
生地を選んだり、ボタンを選んだり、裏地を選んだり。
映画のワンシーンの写真をお持ちになられて「このシーンで俳優さんが着てるみたいなスーツが欲しい」とおっしゃる方もいらっしゃいますよ。
「スーツが褒められた」という言葉がいちばんうれしい
Q.仕事でやりがいを感じる瞬間を教えてください。
お客様の要望をお聞きしている時間はとても楽しいです。いくら時間があっても足りないくらい。
あえて一番うれしい瞬間を挙げるなら、
お客様から「スーツを褒められたよ」という言葉をいただいた瞬間ですね。
仕立てたスーツが奥様から褒められた、会社の同僚からおしゃれって言われた…。
こんなにうれしいことはありません。
そうやってご満足いただけたお客様から、ご紹介をいただくことが本当に多いんです。
でも、逆もあります。
想像よりも身体に合わなかった、ということを言ってくださるお客様もいらっしゃいます。
そんな時は、遠慮なくおっしゃっていただきたいんです。
オーダースーツの良いところのひとつが、直せること。
既製品のスーツよりも縫い代を余分に取ってあるんです。
この部分をもう少し細めにしたい、太めにしたい、とおっしゃっていただければ、
ほとんどは直すことができます。
ヒアリングの段階で
「このお客様はトレーニングをしているからこの部分が太くなりそうだな」とか
「ダイエットしているから細くなりそうだな」というのが分かってきますので、
そういった部分も考慮して仕立てています。
スーツは身体の一部のようなもの。
体形の変化に合わせて、遠慮なさらずにお声がけいただきたいんです。
そうすることで、どんどんお客様の身体になじんでいくものだと思います。
自然と人が集まる場所をつくりたい。
紹介の絶えないお店作りの秘訣
今回は水戸市のオーダースーツ専門店、喜久蔵久米洋服店さんを取材させていただきました。
久米さんのお店には自然と人が集まります。
「スーツを売る」姿勢ではなく、「お客様の話に耳を傾ける」という久米さんの自然体が、人を引き付けているように感じています。
私を紹介してくださった方と同じように、私も久米さんのファンになっています。
最期に久米さんに紹介の絶えないお店作りの秘訣を尋ねました。
にこやかな笑顔とともに
「何なんでしょうね。私にも分かりません。ただ、ボタンひとつでも、じっくり時間をかけて楽しんで選んでいただきたい。
お客様おひとりお一人が楽しんでいただける空間を作っていきたいです」とおっしゃいました。
数ではなく質を追求する。
ここに一つ、経営のヒントが眠っているのかもしれません。
【INFORMATION】
喜久蔵久米洋品店
茨城県水戸市備前町2-11
Tel:029-221-3561
Open:12:00 ~20:00 ※木曜定休
URL https://kikuzokume.com/